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ExhaustiveLargeScaleMAS

Project CASSIA

正式名:「超大並列計算機による社会現象シミュレーションの管理・実行フレームワーク」
CASSIA: Comprehensive Architecture of Social Simulation for Inclusive Analysis

概要

社会・経済・政治のようなシステム等を対象とするマルチエージェントシミュレーションを大規模かつ網羅的に実行・制御するフレームワークを構築します。本研究では、膨大な数の実験設定から目的に応じて実験計画を立て結果を管理する機能を提供するモジュールと、マルチコア上でのマルチエージェントの分散実行を実現するMASS分散実行ミドルウェアからなるフレームワークを構築し、交通や経済・災害対応など各種社会システムの設計支援のための汎用的開発・実験管理環境の実現を目指します。

背景

ITの普及により近年の社会システムは複雑化が加速度的に進んでいます。このため、そのような社会の活動を円滑にするための制度設計などにも工学的なアプローチが望まれています。しかし、繰り返し実験可能な自然科学と異なり、社会システムでは容易に実験を行うことができません。
  一方で、情報技術の進歩により計算機の能力は格段の進歩を遂げ、また、ビッグデータなど多様な社会を反映したデータも扱い可能になって来ました。
  そこで、この計算力・情報処理能力を活用して社会システムを計算機シミュレーションする方法を確立することで、社会科学を実験科学として発展させられる可能性が出てきました。特に、人の知的な活動を「エージェント」としてモデル化し、その相互作用として社会現象を扱うマルチエージェント社会シミュレーション(MASS)が注目されてきています。

構想

MASSによる社会システムの解析・分析を進めるためには、まずは社会システムという対象の分岐理論を確立する必要があります。人間の行動を基本とするMASSでは、正確な未来を予測するということは当面困難なものであり、また、その予測を知ることで人間の行動が代わってしまうというジレンマもあります。一方で、社会システムはまだまだ未解明な対象であり、その挙動の概要がわかっていないものが多くあります。それを明らかにするためには、様々な状況・条件でシステムを動かし、大まかなシステムの挙動を分析することが必要になります。
  このような社会システムの分岐理論構築のためには、次のような計算量の増大要因があります。
  • 状況の網羅性
  • 大規模シミュレーション
  • エージェントの思考
このプロジェクトでは、これらの計算量増大に対処するため、以下のような2つのレイヤ機能を持つフレームワークを構築します。
  • 網羅的エージェントシミュレーションのフレームワーク:MASS 計画・管理モジュール
    • 膨大な数のパラメータ組み合わせの効率的試行
  • 大規模シミュレーションのための分散処理:MASS並列実行ミドルウェア
    • エージェント数×事象数
    • エージェントの思考

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